「国家」の後押し

2011.11.18

規制緩和は建設省の独演ではなかった。臨時行政改革推進審議会は一九八五年七月二十二日に、「行政改革の推進方策に関する答申」を発表し、「地方公共団体の是正状況は全体として必ずしも十分なものとはいえず、今後都道府県を通じ個別指導を強化すべきである」と強調した。二カ月後の同年九月二十四日には、閣議が「当面の行政改革の具体化方策について」を決定する。同年十月十五日には、経済対策閣僚会議が「内需拡大に関する対策」を決定し、そのなかでも、要綱の「行き過ぎ是正の徹底」を強く要請している。

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こうしてみると、要綱つぶしが、たんなる建設省の方針としておこなわれたわけではなく、「国家」(臨時行革審もふくめて)挙げての総攻撃だったことがわかる。にもかかわらず、全国で、指導要綱をもつ千をこす自治体でこうした猛烈な圧力にしたがったのは二百にすぎなかった。多数の自治体にとって、要綱なしでは、その運営ができなかったのだ。しかし、建設省はそうした姿勢をとる自洽体にたいしヽさらに攻撃をつづけた。一九八五年十二月十二日付けで、同省内に「宅地開発等指導要綱問題相談室」を発足させた。個別の業者が、関係市町村の要綱やそれにもとづく行政指導に「行き過ぎ」があったと駆け込み訴えをすれば、「是正指導」を実施するというのである。業者からの「密告」をまって、自治体を狙いうちしていこうとしたのである。自治体に過重な負担を押し付けながら、それに抗議の声をあげ、対抗措置をとると、それをおしつぶそうとしたのだ。当然、浮かんでくる疑問がある。行政府とはだれのためにあるのか。日本の現状においては、少なくとも自治体や住民のためにではないことは一連の通達が示している。